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米石油メジャーと中国との海底ガス開発めぐる蜜月

 日本と中国との間で東シナ海の排他的経済水域(EEZ)中間線海域での中国企業による天然ガス田開発が3年前から政治問題となっています。最近テレビなどでまた大きく取り上げられました。香港の新聞が1月31日に「(日本側が中間線を超えると抗議する)春暁ガス田で生産が始まり、中国沿岸部へガス供給をすでに実施している」と報道したのが発端です。

 中国政府は「承知していない」と報道を肯定も否定もせず、日本政府は「中国から『そのような事実はない』との連絡があった」と全面否定しました。結局、中国側が2月6日、「(大公報の報道は)事実ではない」と公式に否定して、騒動はいったん落着しました。日本の報道はメジャーと呼ばれる米国の巨大石油企業と中国との関係をきちんと把握してないので今回の騒動の真相を十分に伝え切れていません。

 問題の春暁ガス田開発にはブッシュ米政権に最も近い米系シェブロン、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルの2社が参加していました。ところが、日本との中間線紛争が発生すると「商業上の理由」とだけ説明して国営中国海洋石油(CNOOC)との合弁事業から突然撤退したのです。「本音は日中間の紛争に巻き込まれたくなかったから」とささやかれました。

 元々、日本の報道は同ガス田開発を日中間の問題としてのみとらえて、事業から撤退したメジャー2社や米国の思惑については触れてきませんでした。今回の報道でもまったく米政府や米石油企業の意図が背後にあることを表に出せませんでした。日本の新聞、TV各社の中国駐在記者がしっかりと基礎知識を積んでいないのが原因と思われます。

 東シナ海や渤海湾での中国の海底石油・天然ガス開発は1990年代半ばごろから本格化しました。中国は1978年に日本や欧米などの外国資本に対する開放政策に踏み切って、沿岸部を中心に急速で目を見張る経済発展を遂げています。このため93年には石油輸入国へとなってしまい、国内外でエネルギー資源の確保に躍起になっています。

 中国領海内での海底での資源探査・採掘事業にはすべて石油メジャーがパートナーとなっていました。石油探査の専門家は「メジャーと技術力で大差のある中国が単独で事業を実施しても採算ベースに乗らず、利益が出ない」と説明しています。

 2004年に春暁ガス田開発事業から撤収したユノカルは当時、アジア地域に権益をたくさん持っていました。翌05年にユノカルは米業界2位のシェブロンに吸収合併されました。ところが、この合併交渉の最中に中国のCNOOCがシェブロンを上回る価格を提示してユノカルを買収しようとしました。ブッシュ米政権は「国家安全保障上の問題」として中国の動きをけん制し、米世論は「中国の敵対的動き」として猛反発したため、CNOOCは買収を断念しました。

 今、世界の石油業界関係者が最も関心を寄せているのが、中国がサウジアラビア並みの2千億バーレル規模の石油埋蔵を推定している南シナ海・南沙(スプラトリー)諸島周辺の海域です。米石油メジャーはこの“大宝庫”に向かって中国と静かに提携を進めています。日本と中国の中間線問題が取り上げられる度に、米国は東シナ海開発で中国と太い絆を結んでいることを日本のメディアが報道しないことに胸をなでおろしているはずです。米国が中国のエネルギー事業に深く関係しているので、日本政府が紛争解決策として両国共同でガス田開発をしようと提案していますが、実は「絵に描いたもち」なのです。

 中国がユノカル買収へと動いた理由はさまざまに取り沙汰されました。中でも「どうしても米メジャーの最先端技術がほしかった」との見方には真実味があります。米側は絶対にそれを防がなければならなかったのです。万が一、中国が現に春暁で生産したガスを中国本土へ搬送しているとの報道が事実としたら、それは採算を無視し、面子にこだわる中国の暴走です。ユノカル買収騒動後に米中両業界は蜜月関係に入っています。これに気づかず、日本政府の対中抗議や共同開発案を発表されるままに報道する日本のメディアは視野が狭いといわれても仕方がないでしょう。                      




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