「新車あげるから、登校して」 豪華賞品で生徒のやる気を上げる
モチベーション・コンサルタント&コーチ
<記事要約>
2007/2/9 OC POST(南カリフォルニア・オレンジカウンティの地方紙)
「2月から5月まで休まず登校した生徒に、シボレーの新車をあげます」
カリフォルニア、サンタアナ学校区が管轄下のハイスクールを対象に、こんな試みを始めた。第2学期の間一日も休まなかった生徒の中から抽選で一人が選ばれ、13,425ドル相当のアヴェオが贈られる。シボレー特約販売店の寄付によるこの豪華賞品は、受賞者の高校の卒業式に展示される予定だ。
「保護者は、子どもたちがいい成績を取れば褒美を与える。我々もインセンティブ(賞品)を提供したい」と理事の一人は語る。1700万ドルの赤字を抱えるサンタアナ学校区は、これが長期欠席を抑制し、コスト削減につながることに望みを託す。
プレスリリース http://www.sausd.k12.ca.us
<解説>
ワイオミング州、コネチカット州などでも出席率のよい高校生への新車プレゼントが行なわれている。長期欠席者や中退者をなんとか減らそうという苦肉の策だ。16歳から運転免許が取得でき、車が生活必需品であるアメリカならではの賞品選定と言える。
アメリカでは、このように賞品や賞金で対象者の行動を促そうとするインセンティブの取り組みが盛んだ。特に企業では、売り上げ目標を達成するなどして会社に貢献した社員を称え、所定の給与とは別に金品を与える。アワードショップという、賞品や賞状などを専門に扱う店舗もあるほどだ。
学校という教育の場でも、様々なインセンティブが用意される。
カリフォルニア州では、小学校を対象にフィットネスコンテストを開催中だ。シュワルツネッガー知事肝煎りで、最低週3回30から60分の運動を奨励する。生徒の参加率が最も高かった学校に贈られるのは、なんとフィットネスセンターだ。
我が家の小学生が通うアメリカの公立校もしかり。「本を読もう」キャンペーンの入賞者はピザチケットを貰い、礼儀正しくするなどよい行ないをし続けた生徒は玩具をゲットする。「やったあ」などと、子どもたちはそれなりに盛り上がっている。
しかし、親としては、特に勤勉を美徳とする日本で育った親としては、心配になる。物に釣られて勉強するなんて、そんなことでいいのか。褒美によって引き起こされたやる気は、褒美とともに消え去る。物や金を与えないと、子どもは学校に行かず、勉強も運動もしないのか。
もちろん、インセンティブをきっかけに、自発的なやる気を持つようになる可能性もある。「読んでみたら、意外に本っておもしろい」「運動すると気持ちがいい」と気づく生徒もいるだろう。彼らは、いずれインセンティブがなくても、本を読み、運動するようになる。
あるいは、インセンティブでやる気になるというメカニズムを自分の生活に取り込み、うまく生かす方法もある。「がんばって働いて、旅行に行こう」「いい成績を取って、条件のいい仕事に就こう」という具合に、インセンティブとともに生きていくのだ。
できれば子どもたちには、前者の道を進んでもらいたい。勉強や仕事が楽しく、自然にやる気になるのが一番だと思う。
しかし、こちらの親たちの考えは、後者に近いようだ。「成績がよかったらパソコン買ってあげるから」「無事に高校を卒業したら、豊胸手術の費用出してあげる」(!!)と、親自らインセンティブ作戦を実行することも多い。
なるほどね、とため息をつきつつ、ふと気づく。「この原稿を書き終わったら、あのチーズケーキを食べよう」と考えている自分に。まことにささやかではあるが、インセンティブはすでに、私の行動にも組み込まれていた。
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